icon01 RYOさんの日記

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04月 18日 22:27 お題創作
花見の方で書いてみました。
大阪では造幣局で桜の通り抜けがありまして。人は多いんですがorz 綺麗な桜を楽しめたので、書いてみました。



 新幹線で販売されているアイスクリームはとても美味しい。買ってから、少しおいて柔らかくなるのを待つのがポイントだと、隣りの方の列の老夫婦に教わり、そのとおりにする。
「美味しい~」
 グリーン車はゆったりとしていて、座り心地はいい。窓際の席なので、景色を眺めながら食べると最高だ。
「でも、何で?」
 一番の問題は何故ここにいるか、だ。出張に行った一哉から迎えの車を出すから、家にいろと連絡があった。その車は麦を乗せると、東京駅まで連れて行かれて。この新幹線に乗ってくださいと降ろされて今に至る。
「あ~、富士山だ~」
 とりあえず、やるべきこともなく、むぎは新幹線でまったりするしかできなかった。


「鈴原様」
「鎌塚さん」
 新大阪の駅に着くと、出迎えてくれたのは、一哉の秘書である鎌塚だった。
「あの、鎌塚さん。あたしは何故呼ばれたんですか?」
「社長にお聞きされていないのですか?」
「はい。車を迎えに寄越すからしか」
 むぎの返事に鎌塚は何とも言えないらしい顔になる。
「社長は鈴原様をお待ちですから、そこでお聞きになられてはいかがですか?」
 むぎに関しては、年相応の青年にしかすぎないらしい一哉ではある。だったら、二人で話をさせた方がいいだろう…そう判断しら彼女は、やはり有能な秘書であった。


 新大阪から迎えに来てくれた車に乗ると、見慣れない景色ばかり。
「どちらに行くんですか?」
「大阪市内の名所ですよ」
「名所……」
 運転手にそう言われても、ピンとこない。
「大阪城かなぁ?」
 答えが出ないままに車はむぎを目的の地に運んで行った。


「わぁ……」
 車から降り、案内された施設のような場所にはたくさんの桜が咲き誇っていた。
「大阪って、春が遅かったっけ?」
「そんなわけないだろう、バーカ」
「一哉くん!」
 振返ると、スーツ姿の一哉がそこに立っていた。
「一哉くん、一体なんで大阪まで来させたの?」
 邂逅一番に口から出たのは、やはり疑問の言葉だった。そんなむぎに一哉は事も無げに答える。
「大阪で造幣局がこの時期に咲く桜を一般に公開してるんだ。通称、“桜の通り抜け”だ」
「へぇ。でも、あたしたち以外はいないね」
 一般に公開されている割りには人の姿が見えない。
「ああ、特別に入れてもらったからな。一般公開は数日後だ」
「造幣局って、お役所だよね?」
「知らないとか言うなよ。いくらお前が馬鹿でも限度はあるんだぞ」
「また、馬鹿って言った~。…じゃなくて、そんなことできるの?」
「お前、俺を誰だと思ってる?…と言うのは、冗談だ。祖父さんのつてで、な」
 流石は御堂グループといったところである。慣れたくはないけれど。
「花見、楽しみにしていたのに、出張が入って一緒に行ってやれなかっただろう? ソメイヨシノは無理だが、ここには色々な桜があるからな。祖父さんが行って来いってな……。俺は関西空港で降りて、その足でこっちまできたんだ」
「そっか、お疲れ様……」
 そう労いの言葉をかけて、むぎは嬉しそうに笑った。
「一哉くんのおじいちゃんに感謝しなきゃ。あたし、一哉くんとお花見デートしたかったんだ」
「お前な……」
 不意を着かれたような顔をして、一哉は顔を押さえて、むぎから顔を背けた。
「どうしたの、一哉くん」
 きょとんとするむぎに顔を押さえたまま一哉は答えた。
「あんまり可愛いことを言うなよ……。不意うちすぎて、卑怯だろう?」
「え……」
 よく見れば、ほんの少し一哉の顔が赤い。つられて、むぎの頬も赤くなる。
「桜、見るか」
「あ、うん」
 手をつないで、様々な桜を眺めて歩く。桜に囲まれて、幸福なひと時を過ごした。


                                 ……FIN
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